税法免除大学院 修士論文作成の準備について③

修士論文という難所がある税法免除大学院。

論文作成の準備のお話しの続きです。

前回、前々回の投稿で、修士論文の準備について、テーマや指導教官のお話しをさせていただきました。

 

税法免除大学院 修士論文作成の準備について①

税法免除大学院 修士論文作成の準備について②

 

もう少し続きを、お話しさせていただきたいと思います。

テーマが決まったら、論文を読んでみよう

 

夏の税理士試験が終わってから、ある程度の自主学習や秋学期の授業をこなす中で、無事、指導をお願いしたい先生が決まり、おぼろげながらも研究してみたいテーマが見えてきたら、そのテーマについて先に研究された論文を読んでみることが大事です。

ちなみに、論文を書くということは、先行研究の成果を踏まえて、その土台の上に、論者本人の新しい考えを上乗せするのが作法なので、先行研究の成果を踏まえずに、自分のオリジナルな文章を紡ぎあげていく、ということではありません。

その意味で、論文作成の序盤戦は、アウトプット(論文執筆・編集)よりもインプット(先行する研究論文を読み込むこと)が主体になります。

 

どの論文を読むか?

 

では、どの論文を読むか?といえば、一般的には「税大論叢(ろんそう)」からですかね。

バックナンバー(税大論叢)

 

国税庁のホームページにバックナンバーがありますので、無料でダウンロードできます。

「〇〇(テーマ名) 税大論叢」で検索をかけた方が早いかもしれません。

税大論叢は、税務大学校(税務署職員の教育機関)の教授が書いた論文で、そのテーマについての主要な学者や文献や論点、さらには判例までしっかり網羅していますので、これを読むだけで、そのテーマにおけるポイントが分かるようになっています。

ただし、税大論叢は、内容的にかなり難しくボリュームも多いので、簡単に読めるような代物ではありません。

私も自分のテーマの税大論叢を読んだときは、丸一日(8時間)かけても読み終わらず、「こんなのたくさん読まなくちゃいけないなんて、無理だろ!」とあせりを覚えたものです。

安心していただきたいのは、税大論叢を超えるボリュームの論文は、私が研究したテーマでは、無かったです。

ちなみに私は、論文を完成させるまで、この税大論叢に何度も戻って読み返したので、最終的には5、6回は読んだかと思います。

また、研究が進めば進むほど、論文を読むスピードは速くなっていきますので、最初は、全く進まずに苦しくても、ある程度、我慢して読み進めることも大事です。

むしろ、最初に読んで全部わかるなんてことはありえない、くらいの感覚でいた方が、気分的には楽だと思います。

 

分からないことをスルーしない

ただ「分からないこと」をスルーするな、ということも先生からよく言われました。実務家の学生は、だいたい難しいことを後回しにして、簡単なところから手を付ける傾向があるようで、残念ながら、学生がスルーしている部分が、その論文の大事な部分だったりするようです。

私たちは、税理士試験で簡単な問題から手を付けることを徹底されていますし、実務においても簡単なタスクからこなしていく方が、効率的だったりします。

が、大学院の研究では、難しい「分からないこと」が大事みたいです

私も大学院時代は、分からないことだらけで、模擬裁判で使う判決文を読むのに油汗かきつつ格闘したり、ゼミで発表する時につかう評釈論文を何度も読み返したりして、少しづつ経験値を上げてきました。

ただ、分からない部分に固執しすぎても良くないので、どうしても分からない部分は、しばらく放っておいて、別の論文を読んでいるときに、ふっと分かるようになったりすることもありましたね。

文献はどの程度あつめれば良いのか?

 

結局のところ、修士論文において文献をどの程度、あつめれば良いのか?
気になる方も多いと思いますので、この疑問からお答えしたいと思います。

この疑問に対する私の答えですが、私の感覚では、論文完成までに100本集められれば、ほぼ間違いなく修士論文の基準を満たすような論文を書けるのではないかと考えています。
私は、集めた論文のうち、引用という形で使えたのは、3割程度という印象でしたが、私は文献集めでかなり手を広げていたため、普通の方は、もっと使えるとは思います。

ただ、内容がそれほどない判例評釈の小文が、その中に70も80も入っているようでは、100本あっても厳しいかもしれません。

まだ、テーマの固まっていない段階では、当然100本も集まりませんが、テーマがおぼろげに固まってきて、論文を探してみて、余りにも数が少ないようだと、そのテーマで書くことは苦戦必至です。

例えば、私が先生から提案された消費税の「リバースチャージ方式」は、法が施行されてから年数が浅く、論文の数が限られているように感じましたし、判例にいたっては全く見当たらない状況でしたので、ちょっと難しいかな、と感じました。

今の修士論文を一度書いた経験ができた自分から見ると、「リバースチャージ方式」は難しいけど、書けなくはない(むしろ、チャレンジングで面白そう!)と思われるテーマですが、新しいテーマは、先行論文&判例の蓄積がないため、かなりの力量がないと難しいと思います。

逆に、古いテーマ(例えば、交際費)では、論文も判例も沢山あると思いますので、資料は集まりやすいです。

ただ、先行研究の成果を踏まえるというタテマエでいえば、古いテーマは先行文献が膨大すぎて、とても全部はフォローしきれないので、論点の絞り込みの難しさもあると思います。

テーマ選定の段階では、10~20本程度集められれば、良いと思います。

 

本日もご覧いただき、ありがとうございました!

Have a wonderful weekend !!

 

【昨日のできごと】

3:30起床後、読書とブログ校正&投稿。

子どもたちを送り出し、4日ぶりの10キロジョグ。
快晴で30度近い気温でしたが、低湿度で比較的走りやすい環境でした。

妻が風邪気味で疲れていたので、肩もみ。
喜ばれたので、たまにはやってみようと思います。

【New Try】

Google日本語入力
→既存の単語登録が使えなくなって、ちょっとあせってます。

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